男と女

大阪お好み焼きには幻の「肉玉」がある

近年のお好み焼き店には 華やかなメニュー が多い。

「スペシャル」とか「デラックス」とかお店の名前を入れた「千房焼き」とか「わらい焼き」とか。

 

お好み焼きは「お好み焼き」というくらいだから、何を入れようが「お好み」です。個人の自由。

最近は「餅チーズ明太」なるメニューも一般的で、こちらは東京のもんじゃ焼きがルーツかと思われる。

昭和時代には対立していた感もある「お好み焼き vs もんじゃ焼き」が今では手を取り合ってマリアージュ。なんだか平和で嬉しい気持ちになります。

 

昭和のお好み焼き

昭和のお好み焼き屋はもっとシンプルでした。

お好み焼き屋さんのメニューと言えばこちら。

・ぶた玉

・いか玉

・肉玉

・ミックス

・焼きそば

くらいのものではなかったか? 昭和50年代の大阪のお好み焼き屋の場合。

 

メニュー表はテーブルの上にもあったかもしれないし、なかったかもしれない。大阪のお好み焼き屋のテーブルは「鉄板」がスタンダードだったので、物を置くスペースが極めて狭い。

だからメニュー表をテーブル1個1個に置かず、壁に大きく張り出してある店が多かったような気がする。テーブル上のスペースは貴重なのだ。

 

だから壁のメニューは ひらがな で書かれていることが多かったと記憶しています。

理由は「遠くからでも読みすいように」という配慮だと思われます。

玉子の「玉」は漢字でもスッキリ読みやすいが、豚肉の「豚」は遠くから見えにくかったのではないだろうか? 決して昭和の大阪人が漢字を読めなかったわけではないだろう。

 

「じゃりン子チエ」の中には「天かす」というメニューが頻繁に登場します。

作中で実際に「天かす」のお好み焼きを食べるシーンはなかったと記憶してますが、ヒラメちゃんが「うち、いか玉」と注文する隣で、チエちゃんが

「うちは天かす。今月ちょっとピンチやから」

と言うシーンがありました。

私たちの地域には「天かす」というメニューは存在しませんでした。一番安いお好み焼きはぶた玉でした。

 

私の幼少期は駄菓子屋さんに「野菜焼き」というメニューがあって、豚肉のないお好み焼きのことを野菜焼きと呼んでました。

厳密にはお好み焼きというより「一銭洋食」や「阪神百貨店のいか焼き」に近いクレープ状の駄菓子でした。1個60円か70円でしたね。キャベツ、天かす、小麦粉、削り節、ソースのみ。卵もなかったと思います。消費税もなかった。

チエちゃんの世界の「天かす焼き」は豚肉の入っていないお好み焼きのことだと思われます。 

 

幻のお好み焼き「肉玉」

先ほどの昭和のメニューの中に「うん?」と思ったメニューが一つありませんでしたか?

そうです。

肉玉

です。

本日のテーマは「お好み焼きの肉玉」であります。

 

結論から言うと、大阪の肉玉とは 牛肉入りのお好み焼き のことであります。

広島ではオーソドックスなぶた玉を肉玉と呼んだりします。あちらはそば入りがスタンダードなので「肉玉そばダブルで」などと注文します。ダブルと言えば焼きそばが2倍になります。

お好み焼きじゃない世界には「肉玉ライス」や「肉玉ラーメン」も存在します。

 

近年の大阪のお好み焼き屋に「牛玉」を提供する店はほとんどない。→あったらゴメンナサイ…

肉玉は牛すじではありません。肉うどんに入ってるこま切れや牛ばら肉のお好み焼きのことです。

私の幼少期に肉玉を食べた経験は1度か2度あったと思います。ただ、ほとんど記憶にありません。

1年に一度ミックス玉を食べることが許された時、ミックス玉に牛肉がが入ってることがありました。

 

小学生の頃はぶた玉しか食べませんでした。

カッコつけて「いか玉」に手を出したのは思春期になってからです。いか玉なんて色気づいた男が食べるものでした。

ついでに言うと、父親とよく行ったお好み焼き屋には裏メニューがあって、その名も「豚々玉」

今で言う「肉マシ」みたいな豚肉2倍入りのぶた玉です。小中学生時代は豚々玉ばかりでした。

 

主題の「肉玉」ですが、だいたいどの店もぶた玉より100円高いのです。ぶた玉が650円なら、肉玉は750円とか。

だからやっぱり大阪人はぶた玉なんですよ。お好み焼きの基本。

母親と妹はいか玉も食べてましたかね。私と親父はぶた玉しか食べませんでした。

 

車エビとねぎ焼き

肉玉はいつの間にか大阪から姿を消しました。私の記憶では昭和60年頃だったと思います。

この頃からチェーン店のお好み焼きが増えて、車エビの入った贅沢なエビ玉や、貝柱入りのシーフードミックスという冷凍食品のようなお好み焼きもメジャーになりました。

べた焼きのねぎ焼きが全国区になって行ったのもこの頃じゃないでしょうか。私はお好み焼きにしょうゆを塗ることに現在でも抵抗があります。

 

今では外国人観光客が牡蠣やエビやチーズてんこ盛りのお好み焼きを食べています。お好み焼きですから何をトッピングしようが個人の自由です。

だが私は今でもお好み焼きのミックスやスペシャルは頼みません。マヨネーズも一切かけない。

昭和のお好み焼きはシンプルなのがいいんですよ。海老とか牡蠣とか贅沢なものは鉄板焼きで別々に注文します。

 

最近はいか玉もよく注文します。ねぎ焼きにはソースをかけます。

牛肉入りの肉玉かあ。

もっと注文しておけばよかったなあ。

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