1999年公開の映画「ノッティングヒルの恋人」の話をします。
この映画はよく「ローマの休日」と比較されますが、それもそのはずで世界中の誰もが一度は
「もしアン王女とジョーが結ばれていたらどうなっていただろう?」
とモヤモヤした経験があるからです。
ローマの休日
1954年に「ローマの休日」公開されると世界的に大ヒット。オードリー=ヘップバーンの出世作&初主演作としても有名。
この映画では序盤からオードリー=ヘップバーンのチャーミングな魅力が大爆発して、彼女は最後の最後に悲しくも高貴な別れを決断します。
私がこの映画を見たのは1988年頃だったと思います。高校生の頃に一番映画を見ました。この頃にオードリー=ヘップバーンとチャップリンを全部見ました。
1990年には映画「オールウェイズ」を見ました。オードリー=ヘップバーン最後の映画出演です。
1993年にオードリー=ヘップバーンが亡くなり、1995年に私はローマを初めて訪れました。真実の口にも手を入れました。
この時代に
「もしあの時、アン王女とジョーが結ばれていたら…」
なんて妄想を抱いていた人は多くありませんでした。だって映画の公開からもう 40年 も経過していたからです。
だが世界は広い。
私以外にも「もしアン王女とジョーが…」を考えていた人がいました。
その人が映画「ノッティングヒルの恋人」を作ったのではないでしょうか。
ノッティングヒルの恋人
1999年「ノッティングヒルの恋人」公開。私は28歳でした。
この映画の発表は私にとって、とても嬉しかった。鳥肌立ちました。
公開される前から「この映画はローマの休日のハッピーエンドバージョンだよ」という話を聞かされていました。
なんなら「ラストシーンは記者会見だ」まで聞かされていました。
世界中のファンがワクワクしながら映画館に行ったと思います。
そして期待通りに映画はハッピーエンドを迎えました。めちゃくちゃ心地よかったです。
世界的な大女優がロンドンで映画の撮影中、ノッティングヒルの小さな本屋を訪れます。その女優がジュリア=ロバーツ。名前はアナ。
小さな書店の平凡な店主がヒュー=グラント。名前はウィリアム。
身分の違い過ぎる恋はまさに女王と新聞記者だったローマの休日のよう
ノッティングヒルの二人は最後に結ばれるんですが、ファンの間で今もなお語り継がれる 謎 が一つ残っています。
それはなぜアナがウィリアムを好きになったのかということ。
ウィリアムが大女優に心を奪われる理由はわかりやすいですが、大女優が平凡な一般人を好きになる理由はわかりません。
アナがウィリアムを好きになった「理由」
アナがウィリアムを好きになった理由には諸説ありますが、私はアナがウィリアムを好きになった理由は
ビビビ
だと思います。
映画の公開は1999年。松田聖子が2度目の結婚をする時、「ビビビ」と言ったのが1998年でした。辻褄が合います。
要するにウィルが本屋で万引き犯を「とっちめた」やり取りと、2度目にあった時のくだらないブリティッシュジョークにアナはホッと気が緩んでビビビと来た。こんな感じじゃないでしょうか。
アナは1秒も気の休まる時のない生活をしていました。大女優にはなかなかプライベートな時間がなかったのでしょう。
そんな折、偶然のきっかけから一般庶民との接点を得た。アナが緊張感のある大女優から普通の女の子に一瞬だけ戻れたのではないでしょうか。
ウィルにキスをしたのも発作的なもの。後にアナはウィルに
「あの時、なぜキスをしたのか自分でもわからない」
と言っています。大女優が「好きな人に愛されたい一人の女の子」に戻った瞬間だったのでしょう。
アナがウィルを好きになった「瞬間」
その後、アナは自分の滞在先をウィルに伝え、ウィルがアナのホテルを訪ねるとそこでは新作映画の試写会が行われていました。
ウィルはまたしても機転を利かせて「馬と猟犬」の記者のふりをして潜り込みます。
ちなみにこの「馬と猟犬」は実在する雑誌です。公開当時、この本の出版社が映画に感謝しているとかなんとかニュースになってた気がします。
そしてウィルはアナにデートを申し込みます。デート先はウィルの妹の誕生日パーティーでした。
ここでもアナは気取らないウィルの家族や友人に接して心を癒されます。
その帰り道、ウィルが転んで「ウプシーデイジー」とつぶやいたのを聞いたアナは大爆笑。
このウプシーデイジーは日本語にすると「ちくしょう、しまった!」みたいな意味で、この言葉はイギリスの小さな女の子が使う言葉なんですね。
アナも「そんな言葉を聞いたのは50年ぶりよ」と冗談を言います。アナはまだ若いですから50年ぶりと言ったのもジョークです。
大人なら「F〇ck」とか「Sh〇t」と言うようなところで、いいとこのお嬢ちゃんが使うような「ウプシーデイジー」と言う。
そんな言葉を使ってしまうウィルの人の良さというか、幼さというか、飾らない正直さに、アナは心を奪われたのだと思います。
記者会見のシーン
さてその後はすれ違いと誤解を繰り返して映画ファンを一喜一憂させた後、ウィルがアナを迎えに行きます。
映画のラストシーン。
再び新作映画の記者会見に潜り込んだウィル。
ラストシーンが記者会見と言うのは完璧に「ローマの休日」のオマージュであります。
ノッティングヒルの脚本家は
「いや、僕はローマの休日を見たことがない」
と語っていましたが、これは 完全にウソ です。ローマの休日を見たことのない地球人など存在しません。
ローマの休日でジョーはアンに何も語りません。
むしろアンの方が記者団に向かって
「このローマに私の信頼を裏切る人など存在しません」
と語りかけます。
この映画では逆で、ウィルが手を挙げてアナに質問します。
素人はアナが「indefinitely」と答えるシーンに涙すればよいですが、玄人はアナがウィルに気付いた瞬間の表情に憧れる。
アナは大女優なんですよ。新聞記者の顔を見て、いちいち表情を変えてはいけない立場です。
だからアナは驚きと嬉しさと恥ずかしさを表情に出さないんですが、アナの気持ちを知ってるファンだけが気付く程度に小さく表情を変えたのです。
このジュリア=ロバーツの演技がカワイくて美しい。アナはあの一瞬だけ女優じゃなくなるんですよ。さすがジュリア=ロバーツの演技力ですね。
主題歌
そしてラストシーンで流れる主題歌がエルビス=コステロの「She」
映画が日本で公開される前に私はこのCDを買いました。
エルビス=コステロなんて名前は初めて聞きましたが、当時は下り坂の歌手だったようですが、この映画をきっかけに人気が復活しました。
エルビス=コステロは曲も歌詞もいんですよね。日本人好みというか古風な曲が多くで。
1999年の映画ですが、主題歌の「She」はどことなく60~70年代の昭和歌謡のようでした。
1990年代の結婚式ではホイットニー=ヒューストンが圧倒的に大流行しましたが、エルビス=コステロの「She」は全く流行りませんでした。
当時は安室奈美恵の「Can you celebrate?」が人気でした。
まとめ
映画の全体像は「都合のいいラブコメ」です。ほっこり心温まる良作です。
リアリティーを求める方には不向きです。女優が本屋の店員に恋するはずありませんから。
ローマの休日ファンには見てほしい。ってもう見てるでしょうね。
主人公のアナがメル=ギブソンやメグ=ライアンの話をするシーンも映画ファンにはクスッと来ますよ。
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